ターゲットの絞り方を間違えていませんか?
ビジネスプランを考える上で、
「お客さんの『ターゲット』を絞る」必要性について、よく言われます。
「できるだけ多くの方に、気軽に手に取ってもらいたいので 絞りません」
という方や
お客さんがよく見えていない段階で、間違った「ターゲットの絞り方」をしてしまう方、
もしくは、絞り過ぎて、お客さんになってくれる人が少なくなってしまっている方、
など、いろんな方を散見します。
コンサルタントの方に、とにかく絞らないと集客できない、と言われて絞った結果、
絞り方が間違っていて、かえって ターゲットになるお客さん自体をなくしている方も。
正しいターゲットの絞り方をしないと・・・
以前、起業塾に参加してくださった方で、
パン屋さんを開業される夢をお持ちで、「どんなパンでも美味しく焼けます!」と おっしゃっていました。
美味しいパンを焼く技術を、長期にわたり、いろんなスクールやお店で修業されて十分に磨いて来られていて
そのご経歴を見ても、
また、実際に、周りの知人の方たちからの評価を伺っても、その味については確かなものでした。
「乳製品などのアレルギー対応の方向けのパンは焼けますか?」
「焼けます。」
「米粉などグルテンフリーのパンは焼けますか?」
「焼けます。」
「子どもが好きそうな キャラクターパンは焼けますか?」
「焼けます。」
「お誕生日ケーキや シフォンケーキなどはどうですか?」
「焼けます。」
パンや焼き菓子づくりが大好きで、真面目にとことん味を追求して積み重ねて来られた真摯さは
本当に素晴らしいと思いました。
でも、「何でも焼ける」では、
実は とても特徴が出しにくく 売りにくいのです。
横浜にある「女性起業UPルーム」の女性起業家たまご塾の修了生の方たちの事例では、
これまで、何人かの パンや焼き菓子の教室や販売で 成功している女性起業家さん達がいらっしゃいますが、
皆さん、何かしら 健康やヘルシーな素材、アレルギー対応などにこだわる特長を打ち出した方が根強いファンを集めて成功していらっしゃいます。
その特徴の出し方は、トレンドや考え方により、それぞれではありますが、
決して「美味しい」だけでは、ないのです。
「美味しい」だけの焼き菓子やパンは、デパ地下などを巡れば いくらでもあります。
美味しいパン屋さんが、近くにないようなエリアであれば
「美味しい」を売りにしたパン屋さんも成り立つでしょうが、
それでも、「パン屋」さんは 基本的に、真面目に手作りして単価を上げられずにいると
時間と労力がかかる割に 利益が出せず、
「売れても 儲からずに 疲れてしまう。」
ということになりがちです。
「小さいお子さんから お年寄りまで みんなに美味しいパンを食べてもらいたい。」
という気持ちは 素晴らしいと思いますが
「健康や安全性、素材やアレルギーなどへのこだわり」を出した商品を加えることで、
『熱心なファンのお客さんがつきやすく』なります。
全部を切り替えることに不安があっても、ぜひ、一度 試していただきたいです。
「食物アレルギーに困っている方は 一部じゃないですか?」
と、なかなか ターゲットを絞ることに躊躇される方も多いのですが、
そこだけに最初から絞る必要はありません。
そのお客さんを意識した商品づくりを 試してみてください。
アレルギーなど、ご自身が悩んだ経験がないと、
なかなか、そういうお客さんたちが どれほど 安心して食べられるモノを探して欲しがっているか気づきにくいのですが、
想像以上に、そういう方たちがいることに気づくと思います。
そして、他になかなかないだけに、
熱心なファンになってくれるのです。
「どんなパンでも 美味しく焼けます」
と言っていた彼女は、
アレルギー対応のパンや
米粉だけのシフォンケーキ、
乳製品を使わないクリームパン
など、
これまでの技術を生かして 美味しく食べられる アレルギー対応のパンを焼き始めました。
出展販売の機会ごとに ファンが広がり、
彼女のパンを求めて買いに来る方が出来、1時間で完売。
売り切れを心配して予約注文が入るようになり、
こだわりの自然食品店に 卸販売ができるようになりました。
アトピーのお子さんでも安心なことで、子ども向けのイベントに向けての予約注文が入るようになりました。
これは、おそらく どんなにおいしいパンを焼いていても
こんなお客さんの拡がり方は しなかったでしょう。
ターゲットを絞る時、そのお客さんの持っている『熱量』を意識する
コンサルタントの方にアドバイスされたと「30代の働く女性」など、年齢を絞った絞り方を選ばれる方もいらっしゃいます。
これについては、その絞り方が「吉」と出る場合と「凶」と出る場合があります。
年齢や ライフスタイルを絞ることで その層のお客さんのニーズが、より具体化されて、
その方たちの悩みや困りごとにフォーカスすることができるのでしたら
そのターゲットに絞ることは、集客につながります。
美容系のビジネスであれば、「肌などに変化を感じて悩みを感じやすくなる50代前後の女性をターゲットにする」のは、よくあります。
けれど、年齢やライフスタイルを絞ることと、お客さんの困りごとをとらえやすくすることとつながっていなければ
ただ、「お客さんを区切っただけ。」にすぎません。
ターゲットになるお客さんの数を減らしただけです。
例えば、同じ「30代の働く女性」をターゲットにするとしたも、より、その方たちが、熱心に解決策を求めていると思われることへの商品やサービスならいいですね。
例えば、「妊活」であったり、「キャリアと子育ての両立」であったり?
『数』を狙うと失敗する理由
『数』を狙うビジネススタイルは、大手がまずは手を付けます。
立地においても、広告などにおいても、顧客にアプローチする手段や資金を持っているところには かないにくいでしょう。
ですので、単純にお客さんの『数』を追うのは 難しいのです。
アレルギーや、体調や、健康などに課題やこだわりを持っているお客さんたち向けの商品を持つことは、
一見、市場規模として、単純にターゲットになるお客さんの『数』は 狭めるようで不安になるかも知れませんが
アレルギーや、体調や、健康などに課題やこだわりを持っているお客さんたちの商品に対する『熱量』が違うからです。
結果として、
そういう熱心なお客さん達をターゲットにしたビジネスは、
小規模で始める 女性の起業においては、狙いやすいビジネスのスタイルになるのです。
- 商品を熱望する気持ちの強さ=『熱量』の高いお客さんを選ぼう
- 意味のあるターゲットの絞り方をしよう
- 試しに、こだわりの強い商品を作って販売してみよう。
- 反応が取れたら、そこに特化したラインナップを増やしていこう